【2024年】インフレ対策におすすめの投資先は?資産防衛の選択肢4つ

物の値段が高くなるインフレから資産を守るための対策をまとめた記事です。

アメリカの過去100年間の平均インフレ率は3%ですが、近年はさらなるインフレ加速の可能性が懸念されています。

インフレでお金の価値が下がると、資産の実質価値が目減りします。

インフレ対策として、ゴールド、ビットコイン、株式、債券の投資戦略を紹介します。

この記事の要約
  • インフレで現金の価値は目減りする
  • 株式、金、BTC、債券への投資で資産防衛
  • リスクとリターン、投資目標から最適な戦略を選ぼう

インフレ率上昇で米ドルの価値はどれくらい下がる?

異なるインフレ率における米ドル価値の減少グラフ
100年
インフレ率50%減価までの期間90%減価までの期間
3%約23年約76年
5%約14年約45年
7%約10年約32年

例えば、7%のインフレで10年後にはお金の価値が半分になります。

1729年、ヴォルテールは「すべての紙幣は本来の価値、つまりゼロに戻る」と述べました。

これは、通貨が過剰に発行されることにより、インフレによる紙幣の価値低下への警告とされています。

詳しくはレイ・ダリオの『変わりゆく世界秩序』を参照してください。

アメリカの過去のインフレ状況

1. 過去100年間の平均インフレ率

過去100年間のアメリカの平均インフレ率は約 3% です。

しかし、2021年から2023年の米国インフレ率は、平均約5.6%と大幅に上昇しました。

これは、コロナショックで世界中の中央銀行が、通貨を大量に発行したことが原因です。

2. 今後インフレがより加速する可能性も

インフレ率が5%や7%に上昇する可能性は、供給チェーンの混乱、エネルギー価格の急騰、地政学的リスク、大規模な財政政策が要因です。

また、近年はBRICS諸国の台頭米国債発行額の急増対GDP比の債務残高の拡大といった要因も、インフレ圧力を強めるリスクがあります。

引用元:米債務、2029年度までに過去最高 – 日本経済新聞

40年後、3万円貯金と株式投資はこんなに差がつく

毎月3万円をただ貯金するだけでインフレに対応できるでしょうか?

40年間毎月3万円の貯金と株式(S&P500)に投資した場合を比較します。

1. 現金貯金:40年後には価値が3分の1に

40年間で1,440万円貯まっても、インフレ率3%で進んだ場合の実質価値は約480万円に。

40年前と同じものが買える量は、わずか3分の1に減ってしまいます。

2. 株式投資:資産8.1倍で億万長者も夢じゃない

同じ3万円を株式投資(S&P500)に積立投資して、過去38年の平均と同様に8.5%の上昇があった場合、40年後には約1億1791万円に。

インフレを考慮しても約3930万円と、現金貯金の8.1倍もの価値になります。

インフレに負けない資産形成には投資が必須

投資にはリスクが伴いますが、長期的な視点で資産を増やしたいなら、ぜひつみたてNISAなどの投資を検討してみてください。

引用元: つみたてシミュレーター – 金融庁

インフレ対策:資産を守る投資戦略5選

物価上昇が続くインフレ局面では、資産の実質価値を守るための戦略が重要です。

ここでは、株式、ゴールド、ビットコイン、債券の特徴と、インフレ対策の有効性について解説し、それぞれのメリットとリスクを比較検討します。

1. S&P500:米国大型株500社への分散投資

S&P500は米国の優良企業500社に分散投資できる投資信託です。

過去20年間で年平均12.3%の成長を見せています。

さらに、過去90年間のうち、約74%の期間で上昇しており、長期投資においては高い確率で利益を得られることがわかります。

伝説の投資家であるウォーレン・バフェット氏も、S&P500への投資を推奨しています。

株式投資でインフレ対策ができる理由

インフレ時は物価が上昇するため、企業は商品やサービスの価格を引き上げることができます。

その結果、企業の売上や利益も増加し、株価の上昇に繋がる可能性があります。

S&P500は、米国を代表する優良企業500社で構成されているため、インフレによる物価上昇の影響を受けやすく、むしろ恩恵を受ける可能性が高いと言えます。

最大で50%以上の下落リスク

S&P500指数は、2007年10月9日から2009年3月9日まで、約1年5カ月にわたって下げ続け、下落率は56.8%に達しました。

2007年10月9日の高値を更新したのは、約4年1カ月後の2013年3月28日で、株価の回復までにかなり長い時間を要しました。

成功には下落局面での継続積立が重要

ドルコスト平均法のグラフ

引用元: 投信積立の継続のチカラ マネックス証券

市場の下落中に積立を続けることが長期投資の成功の鍵です。

価格が下がっているときは、同じ金額で多くの口数を買えるので、将来価格が上がった時に大きく利益を得るチャンスです。

恐怖に打ち勝ち、淡々と積立投資を続けることで、長期投資を成功させましょう。

世界経済の成長と米国企業の恩恵

世界経済が成長すれば、グローバルサービスを展開する米国ハイテク企業は大きな恩恵を受けます。

例えば、インドなどの発展途上国が経済成長を遂げた場合でも、OpenAIやGoogle、Amazon、VISAといった米国企業のサービスの利用は避けられません。

このように、世界経済の成長は、S&P500に組み込まれている米国企業の成長を後押しし、ひいてはS&P500全体のパフォーマンス向上に繋がります。

2. FANG+:米国大型ハイテク企業への集中投資

FANG+は、米国の大型ハイテク企業(Facebook、Amazon、Netflix、Googleなど)に集中投資する指数です。

これらの企業は高成長が期待される一方、リスクも高いため、短期間での大幅な変動が起こりやすい特徴があります。

FANG+:高い成長力と将来性

FANG+は過去10年間年平均29%の利回りを達成。これはS&P500の平均利回り(約12.3%)を大きく上回る数字です。

このことからも、FANG+に組み込まれているハイテク企業群が、いかに米国経済を牽引してきたかがわかります。

今後もこれらのAIやテクノロジーの未来を信じるなら、FANG+は有力な投資先と言えるでしょう。

また、S&P500と同様に、FANG+も積立NISAの対象商品です。

参考: つみたてNISA投資枠対象商品 金融庁

ハイリスク

FANG+はより高い成長力を持つ反面、下落リスクも高くなります。

2008年リーマンショック時に、FANG+銘柄を多く含むNASDAQは56%下落しました。

成長鈍化の可能性

既に時価総額が巨大なため、今後も同じ成長を続けられるかは不透明です。

投資を行う際は、リスク許容度を十分に考慮し、慎重に判断する必要があります。

3. 金(ゴールド): インフレ対策の安全資産

ゴールドは、経済や政治が不安定な時期やインフレ、通貨危機時にその価値が際立つ安全資産です。

2022年、ロシア中央銀行のドル資産凍結を契機に、各国の中央銀行はゴールド保有を増加させています。

2024年の調査によると、世界の中央銀行の29%が今後1年間でゴールド保有量を増加させる意向を示しています。

引用元: 2024年 中央銀行金準備高調査

金価格は過去24年間で13倍に成長

過去20年間のゴールドの平均利回りは12.2%で、2000年に1グラム1,000円だった価格は2024年には13,000円に達しています。

市場の暴落時に強い安定性

コロナ時、ゴールドは15%の下落で、S&P500の33.9%より安定していました。

ゴールドの希少性と将来性

ゴールドの埋蔵量は限られており、20~30年以内に枯渇する可能性があります。現在、埋蔵量の約80%が既に採掘済みで、希少性がさらに高まっています。

引用元:世界で採掘できる金はどれくらい残っているのだろうか? – BBC

4.ビットコイン:デジタルゴールド

ビットコインは、2009年に誕生した世界初の分散型デジタル通貨で、中央銀行や政府の影響を受けずに運用されることが特徴です。

有限な供給量と高い希少性から「デジタルゴールド」とも呼ばれ、長期的な資産価値として注目されています

ビットコインは過去8年で150倍に成長

ビットコインは2016年に約5万円から、2024年9月には約700万円に上昇し、150倍の成長を遂げました。今後もさらなる上昇が期待されています。

市場の暴落時におけるビットコイン

ビットコインは、市場がパニックに陥ると、価格が急落する傾向があります。

2020年のコロナショックでは、、わずか2日間で52%下落を記録しました。

過去には、1年間で5,500%の上昇や94%の暴落を経験しています。

ビットコインへの投資は、総資産の5%以下に抑えるなど、リスクの高い資産とリスクの低い資産を組み合わせる「バーベル戦略」がおすすめです。

ビットコインの希少性と将来性

ビットコインは金と同様に、発行上限が2,100万枚と決まっており、将来価値の上昇が期待されています。

2024年9月時点で約90%の1,960万BTCが既に採掘済みで、残りのビットコインの希少性はさらに高まります。

さらに、国境を越えたデジタル通貨として、将来の決済手段としての普及も期待されています。

ビットコインの税制

2024年9月現在、日本国内では売買益に最大55%の税金が課される可能性があります。

しかし、仮想通貨業界団体が、税制改正要望案を金融庁に毎年提出しており、数年以内に分離課税(20%)が導入される可能性があります。

税制の変更が行われた場合は、ビットコイン投資の環境がさらに改善されることが期待されます。

5. 債券:安定志向の選択肢

債券とは、国や企業が資金調達のために発行する借用証書のようなものです。 お金を貸し、その代わりに利息を受け取ります。

債券は、株式よりリスクが低く安定した投資先で、株式市場と逆相関しやすいため、ポートフォリオのリスク分散に役立ちます。

株式市場との逆相関性:リスクヘッジ効果

債券価格は、一般的に株式と逆相関の関係にあります。これは、市場環境の変化によって投資家が株式と債券の間で資金を移動させるためです。

株式市場が好調な時は、リスクを取る投資家が増え、債券の需要が減少し価格が下がります。逆に、株式市場が低迷すると、安全資産である債券の需要が増え、価格が上昇します。

この逆相関性を利用することで、ポートフォリオ全体のリスクを軽減し、安定的なリターンを目指すことができます。

例えば、株式市場が暴落した際に債券を高値で売却し、暴落した株式を買い増すことで大きな利益を狙う「トータル・リターン戦略」も考えられます。

著名投資家であるレイ・ダリオ氏が提唱する「オールウェザー戦略」では、株式、債券、金など複数の資産クラスを組み合わせることで、あらゆる経済状況下でも安定したリターンを目指しています。

債券の種類とリスク

債券には、国債、社債、地方債など様々な種類があります。

また、発行体の信用力によって格付けがされており、格付けが低い債券ほどリスクが高いとされています。

一般的に、債券は株式よりも安定していると言われていますが、長期債や格付けの低い債券(ジャンク債)は価格変動が大きくなる可能性があり、注意が必要です。

  • 国債: 国が発行する債券。安全性は最も高く、利回りは低い傾向。中でも米国債は特に安全性が高い。
  • 社債: 企業が発行する債券。国債より利回りは高いが、企業の業績悪化でデフォルトリスクも高まる。
  • 地方債: 地方自治体が発行する債券。安全性は国債並みに高く、利回りは国債と同程度か低い。税制優遇がある場合も。
資産クラス債券のおすすめ投資先
米国短期債国債ETF 1-3年VGSH
米国中期国債ETF 3-10年VGIT
米国超長期国債ETF 20-30年EDV
米国トータル債券BND
物価連動債TIP
米国BDCファンドMAIN
米国BDCファンドは、アメリカのスタートアップや中小企業を中心とした成長企業に融資を行い、その利息収入を投資家に分配する投資信託です。法律で利益の90%以上を投資家に還元することが義務付けられているため、高配当が期待できます。一方で、株式のような値動きがある点には注意が必要です。

債券投資の注意点:インフレリスク

過去30年間の米国債の平均利回りは約3.8%で、アメリカの平均インフレ率3%をわずかに上回っています。しかし、インフレが加速すると、債券投資にはリスクが伴います。

例えば、インフレ率が上昇し金利が引き上げられると、債券の価格は下落する傾向にあります。これは金利と債券価格が逆相関にあるためで、金利が上昇すると既存の債券は利回りが低いため売却され、その価格が下がるからです。

具体的には、インフレ率が3%の場合、100万円の債券の元本価値は1年後には実質97万円に減価します。これは、インフレが進むことで債券の利息収入が目減りし、元本価値も減少するリスクを示しています。

急激なインフレが起こると予想される場合は、以下のような対策を検討する価値があります。

  • 物価連動債への投資:TIPSなどの物価連動債は、元本や利息が物価に連動し、インフレリスクを抑えられます。
  • 短期債への投資: 短期債は長期債よりも金利変動の影響を受けにくく、インフレ時の金利上昇リスクを抑える効果があります。
  • 信用力の高い債券への投資: 格付けが高い債券は返済不能となるリスクが低く、インフレによる企業の業績悪化の影響を受けにくいです。

まとめ:インフレから資産を守る投資戦略

アメリカの100年間の平均インフレ率は3%ですが、最近は加速の懸念があります。

インフレリスクを理解し、早めに対策を始めることが大切です。まずは、ご自身の投資目標やリスク許容度を明確化し、適切な投資戦略を検討してみましょう。

この記事では、代表的な資産クラスである株式(S&P500、FANG+)、ゴールド、ビットコイン、債券の特徴と、インフレヘッジとしての有効性について解説しました。

それぞれの資産クラスには、メリットとリスクがあります。

  • 株式(S&P500)は、長期的に見ると高いリターンが期待できますが、短期的な下落リスクもあります。
  • 株式(FANG+)は、S&P500よりもさらに高い成長ポテンシャルを秘めていますが、リスクも高くなります。
  • ゴールドは、歴史的にインフレヘッジとして機能してきた実績があり、安定した資産です。
  • ビットコインは成長の可能性が高い一方、価格変動が激しく、ハイリスク・ハイリターンの投資です。過去には1年間で5,500%上昇したこともあれば、90%以上の下落を経験しています。
  • 債券は、株式よりもリスクが低く、安定的な投資先ですが、インフレ率が高い場合は実質マイナスになる可能性があります。

最適な投資戦略は、個々の投資家のリスク許容度や投資目標によって異なります。

  • リスク許容度が低い場合: 株式40%(S&P500)、金30%(GLDM)、債券30%(VGIT)のようなポートフォリオ
  • 高いリターンを狙いたい場合: 株式90%(FANG+)、金5%(GLDM)、ビットコイン5%のようなポートフォリオ

分散投資とは、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があるように、複数の資産に投資することで、リスクを軽減する方法です。

一つの資産に集中投資していると、その資産が暴落した場合、大きな損失を被ってしまいます。

しかし、複数の資産に分散投資していれば、仮に一つの資産が暴落しても、他の資産で損失をカバーできる可能性が高いです。

分散投資はリスク軽減に有効ですが、必ずしもリターンが最大化されるわけではない点には注意が必要です。

投資は短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点でじっくりと資産を増やしていきましょう。

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